
『みちのく電記』2024年 | 83分 | 日本 | 16:9 | カラー | ドキュメンタリー
自主上映会 開催&募集中
お問合せ:『みちのく電記』上映会実行委員会 michinokudenki@gmail.com
上映会情報
2025年
7月10日(木) 18:00【東京】上智大学四谷キャンパス
7月20日(日) 15:45【東京】SOOO Dramatic!
10月25日(土) 18:00【宮城】仙台市市民活動サポートセンター 6階 セミナーホール(上映後Q&A:鴫原宏一朗、岩崎祐)チラシ 事前申し込み
東北とグローバルサウスのエネルギー問題の実態に迫り、
誰も取り残さない社会を目指すZ世代の活動を追ったドキュメンタリー
宮城の発電所めぐり、原発事故の経験
本作は、仙台を拠点に気候変動対策に取り組んできた若者、鴫原(しぎはら)宏一朗の活動の軌跡を伝える。小学生の時に福島・郡山で原発事故の影響を受けた彼は、仙台の大学に進学後、被災者への補償が打ち切られていく現実に疑問を抱き、エネルギーや貧困問題への関心を深めていった。やがて世界の若者たちの間に広がった気候運動に共鳴し、街頭で授業ストライキを始める。原発事故後、宮城県内では石炭火力やパーム油発電、メガソーラーなどが相次いで建設されていたが、それらは環境と地域社会に大きな負荷をかけていた。鴫原は現場を訪れ、研究者や住民の声に耳を傾ける中で、市民出資による地産地消のソーラー発電に希望を見出していく。
グローバルサウスとのつながり、仙台のエネルギー貧困対策
バングラデシュの同世代から受け取ったメッセージをきっかけに、日本が海外で進める石炭火力事業の実態を知った鴫原は、国境を越えた運動に加わり、エジプトで開かれた国連気候変動対策会議COP27を訪れる。一方、日本国内では電気代が高騰し、鴫原は仙台の仲間と共にエネルギー貧困対策としての再生可能エネルギーへの転換を訴え、食料支援にも取り組む。日本の周縁としての「みちのく」と、多くの日本人にとって馴染みの薄いグローバルサウスという「未知の国」をめぐる鴫原の活動は、気候危機という地球規模の課題と、身近な生活の中にある切実な問題を結びつけていく。カメラは、一人の若者の成長と、彼と仲間たちが生み出す社会変化の兆しを映し出す。
みちのく【陸奥】
(ミチノオクの約)磐城・岩代・陸前・陸中・陸奥5カ国の古称。おく。むつ。みちのくに。奥州。
気候変動も貧困も一緒に取り組んでいく。
みんなで持続可能な地域社会をつくっていける。
監督のことば
鴫原さんと知り合ったのは、2021年春、私がパーム油発電のSDGsウォッシュに興味をもち調べていた時でした。彼は、県内のエネルギー問題はそれだけではないと、時に熱く教えてくれました。その時、気候運動を1人の活動家の視点から語れば関心を引きやすいだろうという考えを抱き、すぐに彼と宮城の発電所を周って撮影しました。その後、彼が海外のエネルギー問題の取り組みを経て、仙台の仲間とエネルギー貧困対策を打ち出し、地球規模の課題と身近な問題を結びつけたことに、私は目を見開かされた思いがしました。もっとも、気候運動に参加する以前から労働・貧困問題に取り組んできた鴫原さんには、どんな課題に向き合う時でも「誰かを犠牲にする社会を変えたい」というブレない人権意識があり、彼はその思いを時勢に応じた表現で行動に移し続けているのだと、2年半かけて撮影した彼の活動を振り返りながら腑に落ちました。
出演
鴫原宏一朗
1998年、福島・郡山生まれ。東北大学農学研究科博士課程在籍、農業経済学専攻。仙台を拠点に、NPOなどで労働・貧困問題、気候変動問題、グローバルサウスの環境破壊の問題に取り組む。
監督・製作・撮影・編集
岩崎祐
映像作家。ドキュメンタリーなどを監督し、東京で暮らすエチオピア人難民申請者を取材した『かぞくの証明』(19) がドイツのニッポン・コネクションに選出。旧ユーゴ出身の無国籍者を追った『彷徨』(21)が札幌国際短編映画祭でジャパン・プレミア・アワードを受賞。佐渡北端の集落を記録し共同監督した『北鵜島』(24)がドックス・アイルランドに選出。
共同製作・追加撮影
ロジャー・スミス
アメリカ出身の国際環境NGOコンサルタント、ドキュメンタリー製作者。2014年から3年間、松島町国際交流員を、2017年には松島町観光親善大使を務めた。松島在住。
製作:一粒舎
製作協力:国際環境NGOマイティ・アース
©️一粒舎